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「帰りたいってナミが心の底から望んだら。……でも、他にも条件がある、かな」
僕は上目遣いでナミを見上げる。チラチラッと視線を向けていると、ナミは「どんなこと?」と首を傾げた。
「そのスマホ、見せてほしい!」
「そんなこと? いいけど」
そう言って、自分が持っていたスマホを僕に渡してくれた。
うっかり何かに触れてしまい、さっき見たいにスマホが光った。なんだこれ! なんだこれ!
「わぁ~! すごい! いいなぁ……こういうの僕も欲しい……」
マジマジとスマホを見る。この空間には何もないから。もちろん、僕以外の人もいない。こうやって誰かが死んで来ないと、誰かと話もできない。退屈なんだ。
「それはダメだけど……こっちならいいよ」
ナミは着ていた制服の胸ポケットから、同じ形のものを出した。これもスマホなのかな。
「ここって電波届くのね。変なの」
「本当にくれるの?」
僕は物をもらうという初めての事に、胸が高鳴った。
ナミはニッコリ笑って頷く。
「いいよ。使い方、教えてあげる」
ナミは僕にスマホの使い方を教えてくれた。とても優しく丁寧で、わかりやすい説明だった。
「これは何?」
僕はまだ説明してもらっていない、1つのアイコンを指差す。
「あぁ、それはSNS」
「SNS?」
また初めて聞く単語だ。
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