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「遠くにいる人と話したり出来るものだよ。写真を送ったりとか」
「ナミとも出来る?」
「できるよ。ここと現世が繋がってるなら、だけど」
「ナミともっとお話ししたい!」
今度は僕が期待を持って身を乗り出した。
優しく微笑んだナミはとても大人っぽかった。
「それにはまず、私を現世に帰してくれない?」
「わかった!」
僕はニッコリ笑って、ナミに手を振る。徐々にナミの体が透けていき、やがて完全に消えた。これでちゃんと帰れたはずだ。
本当にナミとお話しできるのかな?
スマホが気になって、ずっと眺めていた。時には両手で持っていたり。時には空中に浮かせていたり。
ーーピロリン♪
少しして、スマホが軽快な音を立てた。僕の感覚ではほんの一瞬でも、スマホの日付は5日も過ぎている。
SNSアプリを開くと、ナミからのメッセージが届いていた。
ーー「ちゃんと帰れたよ。ありがとう」
短い一言と、空の写真が一枚。もしかして、学校の屋上から撮った写真かな?
それはこの空間よりもっとオレンジ色の空だった。
完
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