第3話 僕の肺をあげるから、君の心臓をちょうだい

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咲来が訪れたのは、高校生の頃よく遊んでいたとある人物と待ち合わせ場所に使っていた時計台の前。 時間を確かめると、約束の時間の5分前だった。 まだ来ていないのかな。 辺りを見回しても、とある人物の姿は見当たらない。 「渡未さん」 突然、後ろから声が掛かり、ビクリッと肩が跳ねる。 振り返ると、待っていた人物が時計台の柱に隠れていたずら好きの子供のように笑っていた。 「もう、驚かさないでよっ! ───────佐波君」 ひょこっと全身を柱から現し、「ごめんごめん」と謝る。
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