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「─────………やだ」
「えっ!?」
驚いて咲来の方を向いた琢磨の唇目掛けてキスをする。
「……あ、外しちゃった」
唇にしようとしたつもりが、外してしまい唇の端にキスをしてしまう。
「……………!」
何をされたのか分かったのか、琢磨は顔を真っ赤にして後ろに下がろうとする。
しかし、マフラーを巻いているため下がることはできなかった。
「『やだ』って言うと思った?」
いたずらっ子のように微笑む。
「…………っ!」
騙されたと分かって項垂れる。
「じゃあ、今度は10年前の約束を果たさなきゃね」
昔と言われて思い出す。
『元気になったらさ、海にでも行ってみる』
そう約束したことを。
「なら、お正月にでも行ってみようか」
そう言って、琢磨は咲来の手を握った。
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