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転がる首には目もくれず、見据えるのは未来の栄光。この野心滾る禍々しくも雄々しい男の瞳にこの場にいる誰もが陶酔する。
「僕に″大蛇″を差し出したものには欲しいものをくれてやる。だから、その過程で死のうとも億するな。死んでも僕に戦果を奉げろ。お前らは僕が導いてやる」
静まり返っていた孤島が周囲の部下の熱気にざわめく。
「「「「「「「創主!創主!創主!」」」」」」」」
「「「「「「「陛下!陛下!陛下!」」」」」」」」
それぞれの偶像の王を崇める賛辞が飛び交い、静かに燃える男の瞳を怪しく揺らめかせた。王の表情に観衆は一喜一憂する。王の理想に観衆は共に歩まんとする。王は絶対的だと、自ら命を投げ出さんと狂喜する。
ここに絶対的君主が再び生まれようとしていた。
「僕はここにいる。故に敗北など存在しない。目の前にあるのは僕の掲げる理想だけだ。僕の理想にそぐわないものなど未来に存在しない。僕に応えろ!そしてすべて奉げろ!!その理想が叶ったとき僕のそばに存在している者こそ至高!」
「世界を我がものに!紫電に制裁を!!」
ウオオオオォォォォオオオオオオオオォォォ
喝采は天地を震わせ勝利を刹那、創造させた。
彼等は心酔する。これから起こりうる平和を打ち崩す何かに期待し、慟哭し、想いを馳せる。
新しい時代の幕開けを祝福するかのように太陽が陰っていった。
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