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翌朝、月曜日のゴミ出しは僕の番であった。尤(もっと)もアケミが出て行った今となっては、明日も明後日もその先もずっと僕の当番は揺るぎないのではあるが。
窓から観る空は僕の心持ちに比例して重たい雲に覆われている。天気予報は曇りのち晴れ。石橋を叩いて叩いて最後は泳いで渡るくらいに慎重な性格の僕は、折りたたみの傘を鞄に入れた。
マンションのエントランスをくぐり、敷地内のゴミ捨て場へ寄る。湿気が多いのか酷く臭う散乱した生ゴミたち。砕け散った卵の殻なんかは、自分自身の未来や夢を彷彿させる。
生ゴミの芳しい香りに引き寄せられたカラスたちが僕の夢や希望だったものを啄ばんでいる。僕は手に持つアケミと過ごした最後のアレコレを棄てた。分別はきちんとしているので、嘸かし良く燃えることであろう。
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