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会社に着きタイムカードを切ると、上司が「お早う」と人懐っこい笑顔で挨拶をしてくる。僕より若くて、仕事もできて、何よりも部下思いの優しい上司。
僕はこいつが大嫌いだ。だが彼は僕がアケミと同棲していた事も、付き合っていたことさえも知らない。彼に非はないのが、この案件の最も厄介で重要なところであろう。人道的に酷いのはアケミだ。男を作って僕を捨てたのだから。
僕とアケミは社内で誰にもバレることなく付き合っていた。誰にも知られることなく一緒に住んでいた。アケミの住所は実家のまま、僕の部屋に転がり込んできた。
隠れんぼみたいな横恋慕から始まった誰にも秘密の関係は、後ろめたさと罪悪感からくる刺激が、僕らを強く結んだ。どいつもこいつも同じ社内でお盛んなことである。
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