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22歳の夏に両親が亡くなった。
旅行へ行くために空港へ向かう途中で、事故に巻き込まれた。
その日、振替休日を取っていた一番上の兄が警察から連絡をもらって駆けつけ、私達二人はバイトとサークルが終わるまで知らずにいた。
暗い地下で帰らぬ人になった両親を3人で呆然と見つめ、夢なら醒めてくれと願うけど、一向に醒める気配なんかない。
もう一人の兄が、両親にすがって叫びながら泣いているけど、私は茫然と立ち尽くすことしか出来なかった。
あぁ、これは現実なんだ。
ひどい悪夢だけど、現実なんだと思うと、へなへなとその場へへたり込んでしまった。
一番上の兄がへたり込んでしまった私を気遣って、肩を抱いてくれる。
床に置いた両手の甲に兄の涙が落ちた時、両親が本当に帰ってこないのだと悟って目の前が真っ暗になった。
どうして、両親が死ななきゃならないのか。
聞いたところで誰も答えてくれない。
そして、3人だけの生活が始まった。
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