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「今年で20周年なんだ・・・」
亜海がテレビを見ながらポツリと呟いた。
この県で最大のアミューズメントパークが映し出されて、開園20周年の生誕イベントのCMが流れていた。
「ここ、よく行ったの?」
人差し指で亜海のプニプニした頬をつつきながら言った。
一緒にいるときは亜海の身体のどこかに触れているせいか、ちょっと頬をつつかれるくらいのことは、亜海は慣れてしまったみたいだ。
「そうだね。出来たばかりの頃に家族で行ったなぁ」
亜海は、俺に頬をつつかれながら懐かしそうに目を細めた。
寝転がっても丁度いいように座椅子を移動させ、膝を抱えて座っている亜海の太ももとお腹の間に頭を滑り込ませた。
「何?また膝枕してほしいの?」
呆れたように亜海は言うけど、膝枕がしやすいように、座りなおしてくれる。
亜海のひんやりした指が額をなぞった。
「聡の実家の近くで膝枕したときから、ずっとこれだよね?」
亜海のからかうような口調。
「眠いんだよ」
と言ってみる。本当は眠くもないくせに。
「ねぇ、今度、お母さんに言っていい?聡くんってば、最近私の膝枕にはまってるんですよーって」
「だめに決まってるだろ?」
クスクスと笑い声が頭の上から降ってくる。
亜海と気持ちが通じ合って以来、いつもこんな調子だ。
いや、違う。
付き合う前からこんな風に、亜海にいいようにからかわれていたな。
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