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「あれ?君も一人か?」
男の子が僕に気づいて言った。
「・・・」
突然話しかけられて、フリーズしてしまう。
「君も迷子なの?」
女の子が僕をのぞき込んだ。
「・・・・・うん」
やっとこさ返事をする。
「兄弟はいないの?」
女の子が言った。
「お兄ちゃんがいるけど、今は僕一人」
と、僕は答えた。
「そっかー。家族とはぐれちゃったんだね」
女の子の綺麗に編まれたおさげがピョコンと跳ねた。
「よし、俺たちで、この子のお父さんとお母さんを探そうぜ」
男の子が言った。
「そうね。私たちは二人だけど、この子は一人ぼっちでかわいそうだもんね」
「・・・・」
なんだか嵐のような二人だな・・・。
「君の名前は?私は亜海で、この子は海里」
「・・・聡」
「よし!聡!行くぞ!!」
海里が僕の手を取って、ベンチから引っ張った。
「聡くん、亜海とも繋ごう!!」
亜海からも反対側の手を繋がれる。
「聡くんのお母さんどこですかー?」
二人は叫ぶ。
僕は二人に手を繋がれながら走った。
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