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「お兄ちゃん、おんぶして!!」
亜海はお兄ちゃんにまとわりついて、おんぶをしてもらっていた。小柄で身軽なせいか、器用にお兄ちゃんの背中に乗っかっている。
「あー!!ずるいぞ!!俺も俺も!!」
海里もお兄ちゃんにまとわりついてわめいてる。
「分かった分かった。亜海の次な」
人のよさそうな笑顔のお兄ちゃん。
「お兄ちゃんは亜海のだもーん!!」
亜海はお兄ちゃんの背中の上で海里にあっかんべーをしている。
「違うぞ!!兄ちゃんは俺のだぞ!!」
優しそうなお兄ちゃんだな。
僕のお兄ちゃんとは大違い。
たまに叩いてくるし、いじわるされるし。まぁ、優しいときもなくはないけど。
「あれ?君は?もしかして迷子?」
お兄ちゃんが僕に気づいて言った。
「そうなんだよ。兄ちゃん、聡のこと助けてやってくれよ」
と、海里が言った。
「迷子センターとかの方がいいよなぁ」
お兄ちゃんは、ポケットから地図を出して、
「よし、こっちだよ。ここから近いみたい」
亜海をおぶったまま、歩き始めた。
「お兄ちゃんすごーい!!亜海、その地図みたけど全然分からなかったよ」
「もう少し大きくなったら読めるようになるよ」
お父さんに怒られるよなぁ・・・。
嫌だなぁ・・・。
せっかく迷子センターに連れて行ってくれると双子たちのお兄ちゃんが言ってくれているのに、そんなことを思ってしまった。
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