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二人のお兄ちゃんに連れられて、迷子センターに到着すると、僕の両親がいた。
「聡!!」
お父さんが僕の姿を見つけて駆け寄ってきた。両親の姿を見て、知らず知らずに張りつめていた気持ちが緩んでくる。
「良かったね、聡くん」
亜海が言う。
「聡、どこにいたんだ」
うわ!怒られる。
ぎゅっと目を瞑った。
「心配したんだぞ」
お父さんはしゃがんで、僕の頭に手を置いた。
「聡くん、お父さんに抱っこしてもらわないの?」
と、亜海が言い、その瞬間、僕の身体は宙に浮いた。
小学校に入ってから、お父さんに抱っこされたことは初めてだった。
涙がこぼれ落ちてくるから、お父さんが着ている黒のニットでぬぐった。
大きな手のひらが僕の背中を撫でてくれる。
「あなたがうちの子を連れてきてくれたの?本当にありがとう。しっかりしてるのね」
お母さんが、二人のお兄ちゃんにお礼を言っている。
「聡!!男は泣いちゃダメなんだぞ!!」
海里が下でわめいている。
「あんただって、よく泣いてるじゃない」
亜海の声も聞こえる。
「聡、お友達にお礼を言いなさい」
父が僕に言うけど、なかなか泣き止むことが出来ない。
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