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「私、初彼氏が出来たんだけど。もっと、祝ってよ」
にっと口角をあげて笑って見せた。
「・・・・わかったよ」
どうして海里が傷ついた顔をするの?
この前の喧嘩だって海里が言っていることのほうが正しいのに。
「・・・兄ちゃんにも言うの?」
と海里が言う。
「・・・・・言えば・・・いいんじゃない?」
押しつぶされそうな胸の感覚はまやかしに過ぎないのだ。
彼女が出来るのは海里の方が早いと思っていたのにな。
私の方が先に出来てしまった。
もう、子どものままではいられない一抹の寂しさが私の身体を通り抜けていく。
子どものままでいられたら、私もきっと幸せだろう。
そんなことは不可能だけど。
あまり似ていない私達だけど、男女の差が顕著に表れてきた。
海里、また背が伸びたな・・・。
目線がメモリ一つ分高くなっているのを発見する。
こうして大人になっていくのだろうか。
切なさを噛みしめながら、海里の隣を歩いた。
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