3人が本棚に入れています
本棚に追加
何を謝られているのだろう?
僕は棒立ちになってしまった。
そんな僕の前に、一枚の書類がおずおずと差し出される。それを、僕も恐る恐る受け取った。
解雇契約書……とか?
と、思ったが、その前に僕は。
「わ、わたし、一さんが働いてくれると言ってくださって、舞い上がってしまって……こちらを書いていただくことを忘れていました」
雇用契約書、をまず書いていない。
「申し訳ありません」
歩がバッと頭を下げると、彼女の髪はサラサラと音を立てて風に舞い、自身の撫で肩をゆるやかに流れていった。
僕は、それに見惚れていた。
「あ、あの……ここで、働いてくれますか?」
そして僕は、少し笑った。
最初のコメントを投稿しよう!