3人が本棚に入れています
本棚に追加
手紙
『ななし書堂』に定休日はない。休みはいつも唐突だ。
歩とラインのIDを交換していなかった時、ほぼ寝て過ごしていた。
でも、今は違う。
休みなのに着替える僕を母さんは不思議そうに見ていたが、気にしなかった。
部屋の真ん中に正座して、スマホの画面が明るくなる時を今か今かと待っている自分がいる。
ここに『名梨歩』の文字が浮かぶ、その時を。
「…………と、言っても、何が送られてくる?」
そもそも彼女が僕に何か送ってくることがあるのだろうか?
僕ら、友達とすらあんま連絡しないのに……
「うぅ」
画面を睨んだとこで、歩からのラインが来ることはない。
暗い画面に僕の情けない顔が映り込む。急に独りぼっちのような、さみしい感覚になった。
睨めっこができなくなって、僕はスマホをベッドの上に放り投げた。
でも、その瞬間画面が光った気がして。
「あっ」
スマホを追って、ベッドへダイブ。
「……気のせいかよ……」
そんなことを数度繰り返した。
最初のコメントを投稿しよう!