手紙

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手紙

『ななし書堂』に定休日はない。休みはいつも唐突だ。 歩とラインのIDを交換していなかった時、ほぼ寝て過ごしていた。 でも、今は違う。 休みなのに着替える僕を母さんは不思議そうに見ていたが、気にしなかった。 部屋の真ん中に正座して、スマホの画面が明るくなる時を今か今かと待っている自分がいる。 ここに『名梨歩』の文字が浮かぶ、その時を。 「…………と、言っても、何が送られてくる?」 そもそも彼女が僕に何か送ってくることがあるのだろうか? 僕ら、友達とすらあんま連絡しないのに…… 「うぅ」 画面を睨んだとこで、歩からのラインが来ることはない。 暗い画面に僕の情けない顔が映り込む。急に独りぼっちのような、さみしい感覚になった。 睨めっこができなくなって、僕はスマホをベッドの上に放り投げた。 でも、その瞬間画面が光った気がして。 「あっ」 スマホを追って、ベッドへダイブ。 「……気のせいかよ……」 そんなことを数度繰り返した。
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