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今度は僕の顔と体が急激に熱くなる。
そんなに見詰めていたとは気づかなかった。
「ごっ、ごめん……なさい。ちょっと考え事を……」
慌てて謝る僕に、歩は少し目を伏せた。
黒縁で分厚いレンズに隠れているが、歩の瞳は綺麗なアーモンド型で、睫毛も下に影を落とすほど長い。照れた時に、黒縁眼鏡を人差し指の第二関節で少し上げる仕草に、僕は毎回ドキリとする。
「……何を考えていらしたんですか?」
「え?」
歩のか細くも可愛い声は、僕から思考を奪うようで、しかし曖昧な答えを許さない力があった。
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