後悔

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危うくコップの中の水で窒息死するところだった。 激しく咳き込む僕に、晴真は「慌てて飲むからさぁ」と、テーブルの上にあるペーパータオルを何枚かこっちに寄越した。「誰のせいだ!」と叫びたかったが、それも咳に掻き消された。 「ほら、落ち着け」 納得は行かなかったが、僕は途切れ途切れの礼を言い、込み上げる咳が治るのを待った。 晴真も待ってくれていた。 「さ、オレ、当たる理由は?」 僕は、歩にしてしまった失態を晴真に話した。この友人の前では、いつの間にか素直になっている自分がいる。 必要な相槌以外は打たずにすべてを聞き終わった晴真は、言う。 「はい、そのまま『ななし書堂』に直行」 「…………は?」 そして、いつも突拍子もないのだ、この友人は。 「後悔先に立たず、後悔しても仕方ない、っていうことわざがあんだろ?」 「あるけどないよ!」 僕は、ファミレスで叫んだ。
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