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♪ピンポピンポピンポーン♪
「…………はっ!」
ヤケクソに鳴ったドアホンの音で、私は目を覚ました。
あれ?私、今何を…
ああそうだ、今朝から何となく気落ちしていて、あれこれ考えているうちにすっかり眠くなって…
ふと外を見ると、西の空がほの赤く染まっている。
ゲッ、今何時?
……6時。やばっ、晩ゴハン作ってない!
青くなっていたところ。
♪ピンポピンポピンポピンポーン♪
今度はさらにしつこく、ドアホンが連打されている。
「あー、ハイハイハイハイ」
もー、ウルサイなぁ、お客さん。それどころじゃないってのに。
思いながらも、私は急いで玄関へ向かう。
「は~~い!」
勢いのまま、ドアを開けた瞬間。
ガンッ。
何かにぶつかる嫌な音と、鈍い手応えを感じた。
「ぎゃっ!…っ…てぇ」
「うわっ、スミマセン!」
目の前には痛そうに頭を抱えて、宅配人のお兄さんがうずくまっていた。
悪いことに、モニターを見る習慣がない私は、 “あれ?” とカメラを覗いていたこの男(ヒト)に、もろにドアをぶつけたらしい。
「だ、大丈夫ですか?」
私は、しゃがみこんでいる彼を中腰に覗き込んだ。
あれ?
この人…どこかで見たことがあるような……
涙目になりながら顔を上げた彼を見て、私は目を丸くした、
「あ~~、ハヤトくん!?」
「あっれ~、トーコじゃん!」
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