3 過去からの来訪者

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 そう、彼こそが私の学生時代の元カレ、かつて2年間、同棲していた柿本ハヤト君である。    加えて、卒業と同時に『遊びたい』と私を振った、トラウマ男。  ハジメテをあげたくらい好きだったのに。 「イヤ~、懐かしいなあ。何オマエ、結婚したの」 「まあね」  私は得意気に答えた。  彼は、ここが最後の配達だったらしく『喉渇いた』などと抜かしながら、フラりと家に上がり込んできた。  私と言えば、少しばかりは焦ったものの、今日、誰とも喋っていない寂しさと、  『元カレに今カレを自慢したい!』  という不純な動機から、彼にお茶まで出してしまい、今に至る。  そういえば昔から図々しいヤツだった。 「ハヤト君こそ。東京で働いてたんじゃなかったの?」 「ああ、それがさ。  入ってたった2年で倒産よ、倒産。  俺、実家こっちだろ?だから帰ってきたんだけど  …しかし、スゲエいい所住んでるじゃん、ダンナ、何やってる人?」 「ふっふっふ…」  よくぞ聞いてくれました!  ここぞとばかりに、私は思いっきり自慢した。
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