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そう、彼こそが私の学生時代の元カレ、かつて2年間、同棲していた柿本ハヤト君である。
加えて、卒業と同時に『遊びたい』と私を振った、トラウマ男。
ハジメテをあげたくらい好きだったのに。
「イヤ~、懐かしいなあ。何オマエ、結婚したの」
「まあね」
私は得意気に答えた。
彼は、ここが最後の配達だったらしく『喉渇いた』などと抜かしながら、フラりと家に上がり込んできた。
私と言えば、少しばかりは焦ったものの、今日、誰とも喋っていない寂しさと、
『元カレに今カレを自慢したい!』
という不純な動機から、彼にお茶まで出してしまい、今に至る。
そういえば昔から図々しいヤツだった。
「ハヤト君こそ。東京で働いてたんじゃなかったの?」
「ああ、それがさ。
入ってたった2年で倒産よ、倒産。
俺、実家こっちだろ?だから帰ってきたんだけど
…しかし、スゲエいい所住んでるじゃん、ダンナ、何やってる人?」
「ふっふっふ…」
よくぞ聞いてくれました!
ここぞとばかりに、私は思いっきり自慢した。
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