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「だからさ、その人もきっとそうなんだよ。
外じゃおべっか使って愛想振り撒いて…女の子にもお世辞ゆってさ。
家でも同じ事やってらんないだろ?
お前の場合はホラ、何ていうか…小動物に癒される感じ?」
小動物…
そうか、あの、毎晩の『頭ナデナデ』は、ペット的な感覚だったのか。
……あれ?
でも、昨夜の『キラキラスマイル』は?
私の経験上、アレは オオカミさんの “外面” って気がするんだけど…
新たな疑問を抱きかけた時、ハヤト君はばつが悪そうに頭を掻いた。
「あのさ、『勝手だ』って、言われると思うけど」
息を継ぐ。
「お前と別れる時、俺『遊びたいからだ』っつったけど。本当は、まずは仕事頑張りたいってとこがあったんだ。
ほら、就職だって結局、お前のが良いとこ受かったじゃん?
俺も男だし、負けたくないって気持ちもあってさ…
オマエにはホント、可哀想な事したよ。ゴメンな」
彼は胡座をかいたまま、ぐっと頭を下げて謝った。
「ハヤト君…」
「トーコはな、のんびり構えていればいいのさ。
その人だって、仕事が落ち着いたらそのうち…な?」
「…ん、そうだね…」
懐かしい人の優しい言葉は、沈んでいた私の心をじんわりと温かく癒していく……
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