1 君を大事にしたいから

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 ちょうど1月半前のこと。  ちょっと信じられない話だが、至って平凡なOLだった私は、直属の上司で超エリートコース、当社内『抱かれたい男』ランキング3位という、自他共に認めるイケメン課長、大神秋人に突然プロポーズされてしまった。  ちなみに私は3年間、超厳しい上司だった彼に叱られまくっていた只の部下。  彼とお付き合いしたことなど1度もない。  なのに彼は、私に『結婚してほしい』と言った。 そして私は『する』と言った。  どうやら私は、知らずのうちに彼を好きになっていらしいが…  要はその場の勢いで、理由や理屈は何もない。  まあ、人って多分そんなもの。    オッケー、ノープロブレム。  私はただ、有りのままを受け入れる。  しかし、カレカノ期間ゼロからのスタートした私たち、馴染まなさは半端でない。  互いの呼び名を変えるのすら照れてしまって、籍は入れているものの、まだ互いを『オオカミさん』『赤野』と呼び合っている。  そんな調子だから、身体の関係なんてもちろん、キスだって過去一度の過ち(※『オオカミさんとクマさんに~』より)を除けば、ディープなやつはまだ1度だってしていない。
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