SNS

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
「酸っぱい納豆好きですか?」 「…えっと、脳内に深刻なダメージが生じた?」  不意に戯言を言い始めた友人に、私は可能な限り親身になってそう答えた。  まあ、言いたいことはあるやもしれないが、私の身になって考えて頂きたい。数年来の同性の友人が、自称[頭の回転は速い方]であるところの彼女が帰宅中の電車内に於いて、今まで夏休みに一緒に行く予定の旅行の話をしている最中に、ふと頭の上に電球でも点いた様な表情を浮かべたかと思うと、若干どや顔で一行目の台詞を発したのである。突発性の病気を懸念してなるたけ冷静気味な問いを友人に返した、と言うだけのことであり悪気は皆無の労りでしかない。下手をすると青い服を来て金色の野に降り立ってしまう位の労りと慈愛の心である。それなのにこの傍らの女ときたら、 「哀れみたっぷりにそういうツッコミを入れられても困るんだけれど…。ちょっとした思いつきのギャグを言っただけなのに」等と世迷言を言い始めたのでだ。 「え、ギャグだったの? こちらは本気で心配したのに! 私の良心を返せ!」 「…絶対解った上で言っているよね!?」 「返せないなら慰謝料を請求する! 具体的には日本銀行券で!」 「ちょっとしたギャグを言っただけなで金銭を請求されている私って…」 「それはそれとして、ギャグの解説を」 「うわ、いきなり一番恥ずかしいやつを要求してきやがった」 「言わないと料金メーターが上がる一方になるけれど?」 「生臭さしか感じられないんだが…。あーもうわかった。言えば良いんでしょ言えば。“SNS”であいうえお作文を思い付いたので、ポロって口にしちゃっただけよ!」 「…やっぱり病院行く?」 「何でよ!!」
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!