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「か、か、か、か、可愛い?」私は真っ赤だ!
「はい、はい、夫婦漫才は終わったかい?」
裕ちゃんの後ろから突然の声。げっ、茜ちゃんだ。
「いつから見てたの?」
「スカート摘まむとこから」
いやぁー!
「おはよう、茜。お前も似合ってるぞ。髪型もな。」
「おはよう、ありがとね。でも、女の子皆にいっちゃダメよ。あんた自覚ないけど、かなりの人気なんだからね。気を付けなよ。ゆう。」
ぺしぺしと叩かれる裕ちゃん。
私はそんな茜ちゃんが羨ましい。
裕ちゃんは女の子には「ちゃん」で呼ぶ。親しい仲の茜ちゃんと未来ちゃん、めぐみちゃんは呼び捨てだ。なのに…。私だけ「月島さん」なのである。
私も心の中では「裕ちゃん」って呼ぶけど、実際は「嶋田君」としか呼べない。茜ちゃんはすぐに「ゆう」って呼んでたんだって。すごいよ。
「てか、遅刻じゃない?」
茜ちゃんが、時計を見ながら言ってきた。
「確かに入学早々ヤバイな。仕方ない、月島さん後ろに乗って。」
裕ちゃんの自転車は二人乗り仕様になっている。後ろの荷物置きにはクッションがついている。勿論、私用である。
というのも、この三人で、小中と一緒に登校していた。主に茜ちゃんが寝坊するので、私を後ろに乗せて学校にほぼ毎日通っていたのである。
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