第二話

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第二話

 サチの言葉はシンプルゆえに難しかった。  無理やり昼に付き合わせた御守にも情報収集してみたものの、めぼしい成果はなかった。 『いとこだけど、再会したのは本当に久しぶりだったんだ』  結局、自分一人でもがいてみるしかないらしい。 「いつから入院してたんだ?」  十月に入れば、文化祭の準備が本格化する。その前になるべく会う時間を作って、話をしたかった。  改めて、不思議に思う。一人の異性に、ここまで入れ込んだことはなかった。  同情心? 放っておけないだけ? 「中学の頃から、かな」 「マジか、そんな前からなのか」 「全然具合がよくならなくて、病院に行ったらすぐ入院が必要ですって言われたんだよね」  病気で入院なんて、年を取ってからするものという感覚だった。それがいきなり目の前にやってきても、受け入れろという方が無理だろう。 「寂しくて、最初はこっそり泣いたりしてたなぁ」  せめてサチと同じ学校だったら、もっと早くに出会えていたかもしれない。入院中も友人を引き連れて見舞いに行って、少しでも明るさを分けたのに。 「……あ」 「どうしたの?」  何か、ピンと来た気がする。もちろん彼女には内緒だ。     
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