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「おつかい、出られる?」
静かな部屋を、クーラーの風が横切った。
6月だというのに、今日も窓の外は暑そうだ。
グリーンカーテンになるはずの朝顔は、まだすだれの役にも立ちそうにない。
梅雨というのはどこに入った。
「きょうはもう、夕方まで暇よね?」
おれは本を抱えたまま、聞かなかったことにした。
配本用の箱へ、ハードカバーの本をどんと置く。
話題の小説だからって、県立図書館からまた無理を言ってまわしてもらった数冊。
今朝、散歩がてら毎日通う、ヤマ爺さんから帰ってきた山だ。
紙とインクとほこりのにおい。
静かな、市立図書館の分室。
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