捕まえるはずが

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「あー、今日は全然駄目だったなぁ」  二丁目をブラブラしながら溜め息を吐く。何人かに誘われたけど、好みじゃなかった。  今日は、このまま家に帰ろうかなぁとか思っていた時だ。  知った顔を見つけたのだ。第2研修室の室長だ。俺は第1研修室の室長をしているから、たまに顔を合わせる。部屋も隣だし。  全く別の薬の研究をしているからライバルとかではないし、本当にたまに合うだけたのだが。本当に美人で色っぽい所のある男で、ラボでは人気を俺と二分している。その点で見ればライバルなのか。全然浮いた話を聞かないと思ったら、そうか同じ人種だったのか。  一緒に居るのは…… Ωっぽいな。恋人か? 「あれ? 白石さんじゃないですか。奇遇ですね」  半ば無意識に男に話しかけてしまった。 「え、ああ、金江さん…でしたっけ?」  振り向いた白石の綺麗な黒い瞳に俺が映る。 「そうです。あ、恋人ですか?」  隣のΩに睨まれたのが、何だか面白くない。そりゃ、急に恋人に話しかけられたら睨みたくもなるだろうが。 「あ、いえ。そう言うのでは…」 「ねぇ、優人。誰?」 「隣の部屋の室長さんだ」 「ふーん」  男はジロシロ俺を見て、鼻を鳴らした。
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