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そう言って岡崎くんは笑顔になった。今、嬉しいって言った? 間近で見る岡崎くんの笑顔に、どくんと心臓が大きな音を立てた。
「えっと、何か用ですか?」
おそるおそる訊ねると、
「えっ? あぁ、そうだよね?」
岡崎くんは急に慌てたような表情になった。辺りをきょろきょろと見渡し、誰もいないことを確認すると、「うん、よし、大丈夫!」と自分を励ました後で、私の瞳をじっと見つめて告げた。
「1年E組、雫井結衣さん、僕、君のことが好きです」
「え?」
私はそのまま固まってしまった。
今、何て? 岡崎くんが、成績学年トップの岡崎くんが何ですって?
「好き?」
誰が、誰を?
「僕が、雫井さんを」
確認するように岡崎くんは自分と私を順に指差した。
「えぇっ!?」
私は思わず声を上げてしまった。
「何で?」
何で、私なの? 私なんて、普通を絵に描いたようなイチ女子生徒で、成績が特別いいワケでもないし、別のクラスに名前を轟かせるような美人でもない。岡崎くんが、私の名前を知っているだけでも驚きなのに!
「……何で? って、僕が何で雫井さんを好きになったかってことだよね?」
岡崎くんは、照れ臭さそうに後ろ頭を掻いた。
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