Episode.12

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「ふ…っ」 「ちょ…唯斗なんで笑ってるの?」 勢いよく言えば、私の様子を見て思わず笑いを零したのは社長とその姿に困惑する佳乃さん。 「…なんでって、ねぇ?」 「唯斗、彼女と知り合いか?」 さっきまで黙って私達の様子を俯瞰して見ていた久我会長も思わず社長に尋ねる。 「知り合いっていうか…私がこんな話し方する羽目になった原因よねぇ」 「あれ、社長話し方が元に…」 「小野寺社長と佳乃、そして会長。申し訳ないけど私結婚できないわ」 さっきまでの違和感ある話し方から、いつも通りの話し方に戻った社長だけど、それを指摘する前に彼は話し始めた。 「彼女も言ってたけど、佳乃と私の間にはそもそもなんの感情もないしやっぱり結婚する必要ないと思うのよね」 「唯斗、その話し方一体なんの…」 「それに、私この子がいるし」 私のことなんてまるで見えていないかのように話が淡々と進められていく中、社長は私に視線を向ける。 「この子って…唯斗の部下…?」 「いいえ、部下じゃないわよ~」 「は、ちょっと社長…?」 いきなり婚約破棄を言い渡した社長と、目を点にする両家の親。 …そしてみんなの視線を一斉に浴びる私。 「まぁそういうわけだから、もうこのお見合いはお開きにしましょ。佳乃もその方がいいわよね?」 「え、あ、そうだけど…」 「小野寺社長、会長。このお詫びはまた改めてさせていただくので私は先に失礼させていただきます」 「唯斗、お前どういう…」 「支倉ちゃん、行くわよ」 他の人たちがなにか言う暇も与えないまま社長は話をどんどん進めていき、気付けば私の手首を掴んで彼らの間をすり抜けていた。
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