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「くっ……」
わずかな抵抗。カオルが唇を噛んで、眉を寄せる。
僕は直腸診の要領を思い出し、ひとさし指をゆっくり差し入れた。カオルの喘ぎがひときわ激しくなる。
「センセ……オレ……あんまりもたないかも。すぐいれても……いいよ」
僕はそれでも指の愛撫を続けた。二本、三本と僕の指を受け入れて乱れるカオル。ケガをさせないためだったはずなのに、無防備にすすり泣く姿がかわいくて、いつまでも責め続けていたくなる。
「センセ、頼むよ。もういれて」
とうとうカオルが小さな悲鳴を上げた。僕の限界も近かった。唇にキスをしてから今にも暴発しそうな勃起を埋めこむと、途端に熱さと圧迫感と恐ろしいほどの快感が襲いかかってきた。もう相手を気遣う余裕もなくなって、僕はカオルを抱きしめ、ただひたすら腰を打ちつけた。
カオルが声を出さずに泣いていることに気づいたのは、ようやく動けるようになってキスした時だ。両方の頬が濡れていたのだ。
「カオル、どうした? 痛かったのか? どこかケガしたか? 具合が悪くなったのか?」
僕は慌てて飛び起き、カオルの体を調べようとした。
無茶だっただろうか? ソファで抱いたのがいけなかったのか? ああ、カオルは熱があったんだっけ。
ところがカオルはゆっくりと体を起こし、涙をぬぐって、僕にキスしてくれたのだ。
「違うよ、センセ。うれしかったんだ」
「うれしい?」
「ずっと何もしてくれないんだもの。オレなんか眼中にないのかと思ってた。今夜だって病気じゃなきゃ会ってくれなかっただろ?」
「しかし……カオル」
「だからわざわざ苦労して風邪ひいてきたんだぜ」
薄着で外を歩き回ったり、風邪を引いた友達とずっと一緒にいたり――そう言って、カオルはようやく笑った。
「やっと抱いてくれたね、センセ」
「しかし……君には他に……その、つ、つき合っている相手が」
「いないよ。オレ、ずっとセンセが好きだったんだもの」
クリスマスの季節には奇跡が起こるのかもしれない。
カオルはそれ以来、僕をカズヒコと名前で呼び始めた。そしてイブの夜限定と覚悟していた恋人は今も僕の隣で笑っている。
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