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「群青(ジョー)、翠蘭をホークアイにさらわれたぞ!!」
仲間の声に、裏町のじとじとした隅っこでカード遊びに興じていた群青(ジョー)は
いっときに牙を剥いた。
「あいつが 翠蘭を!?」
「ホークアイのやつ、この前から翠蘭を誘惑してたんだよな。うちにくれば こんなドブネズミみたい生活から おさらばしてシンデレラみたいなお姫様になれるってよ」
仲間も悔しそうだ。
「あの野郎、上流階級にのさばりながら、裏社会も支配して俺たちストリートチルドレンを目の仇にしているくせに翠蘭だけさらうとはどういうわけだ」
群青(ジョー)は下唇を咬んだ。ホークアイから彼らのボロのタブレットに連絡が入る。
『翠蘭を返してほしくば、群青(ジョー)ひとりで屋敷まで来い』
罠かもしれない。 しかし、群青(ジョー)が行ってみると、ホークアイの巨大な屋敷は無防備で、翠蘭の声が昏い森の中から聞こえた。
「群青(ジョー)ここよ、私はここ」
バルコニーから 白いネグリジェのまま身を乗り出している少女が見える。
ボロをまとっていた先日までとは違い、なんて優雅な姿だ。
「飛び乗れ!!」
このまま無事に帰れるかどうか判らないが、とにかく翠蘭はネグリジェ姿のまま、ひらりと身を翻してバイクに乗った。
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