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第一章 その2 ナゾの老婆
エンジンを吹かせて、出口向けて発進しようとして、すぐに背後から首を絞められる。
広大な庭の闇の中で バイクはハデに横転した。
「何、するんだ、翠蘭!!」
思わず、群青(ジョー)が眼を走らせると、温和だった少女に闘志が滾っていた。
「あんた、アタイたちストリートチルドレンを大陸のマフィアに売ろうとしていたそうじゃないか。アタイのことも騙してたんだね、許せない」
驚く間もなく、翠蘭の白い手から短剣が繰り出される。白いネグリジェも脱ぎ捨て、漆黒の皮のジャンプスーツ姿だ。
「止せ、やめろ。お前と戦う気なんかしない。俺たちは裏町で
ガキの頃から肩を寄せ合って生きてきた仲間じゃないか」
さんざん、翠蘭の短剣が舞うが、群青(ジョー)が攻撃をかわすばかりでなかなか勝負がつかない。
ふたりとも、肩で息をしているところへ背後から老婆の声が響いた。
「お前たちの本当の敵は ホークアイだ。闘いを止めて力を合わせるがよい。オッドアイの男女よ」
「誰だ。あんた」
「そんなこた、後だ。とにかく、あんたたちふたりは戦う必要などないのじゃ。」
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