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第二章 隻眼の老婆
老婆に案内されて スラム街の袋小路の奥へ行く。
「いつの間に、ホークアイの屋敷を出たんだ?」
「少々、目くらましを使ったからのう、どうせ、そのおなごは試しの遊びだったんじゃろう、ヤツにとっては」
まだ 興奮してナイフで斬りつけようとする、翠蘭をどうにか押しとどめ、怪しげな骨董屋のような古びた部屋に案内される。地下へ降りる階段にヤモリが這い、蜘蛛の巣が張っている。
「まあ、座んなさい」
お世辞にも小奇麗とは言えない木製の椅子を勧められる。
「世間話などする気はない」
「アタイもさっ」
翠蘭が部屋のカビ臭いのを鼻をつまんで顔をしかめながら咬みついた。
そして もう一度、隙をついて、群青(ジョー)に向かってナイフを振りかざしたが、
その腕は振り下ろすことが出来ない。
「くっ……、どうして!?」
隻眼の老婆の眼が 少女をがんじがらめにしているのだ。
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