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日文はスマホの画面に映し出された文字を見つめる。
「人は二度死ぬという話があります。一度目は肉体的な死、二度目は誰も覚えていてくれる人が居なくなった時」
「聞いた事が……あります」
悠輝がうなずく。
「ご主人の中にもお嬢さんはいます、友人や親戚などの人たちの中にも。
それを忘れないでください。悲しいのは、辛いのは、あなただけじゃない。
傷はそう簡単に癒やされないでしょう。
でも、それで良いのです。忘れる必要なんてありません、むしろ覚えていてください」
「はい……」
最後に悠輝は、日文に精神科を受診する事を約束させた。彼女に本当に必要なのは拝み屋ではなく医者だ。
太一からの依頼は、書き込みが心霊現象でないことを日文に理解させて、受診を了承させることだった。
天城が言うように、これは探偵の仕事ではない。
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