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蓮は、小さくため息をついた。
確か、バイト前に透子に会う約束があったんだっけ。
あ~、俺は何やってんだ…
学校の最寄りの駅に着くと、蓮は友達の対応に大忙しだった。
友達といっても、ほとんど女の子ばかり。
学ランの黒いズボンに白のシャツをだらしなく着こなしている蓮は、とにかくよくモテた。
福は蓮の後ろを歩きながら、居ても立っても居られない気持ちになる。
れんれんって、彼女いるのかな…?
福は、切ない気持ちに戸惑いながら、蓮の後ろ姿を追いかけた。
蓮は、後ろからついてくる幸が気になってしょうがない。
まるで、初めて学校を見たような顔をしておどおどしている。
「幸、ここで待ち合わせな。
俺は、自分のクラスに行くから」
福は幸が何組かを知らなかった。
心の中で、幸を必死に呼ぶが応答がない。
「幸? 急がなきゃ遅刻になるぞ。
お前、自分のクラス忘れたとか?」
「ううん、忘れてないよ…」
福は心ここにあらずの顔で蓮にそう返事をすると、頭の中の遠い所から幸の声がこだまのように聞こえてきた。
“2年B組、本館の3階の一番左端”
“了解、ありがとう、助かった~”
「じゃ、れんれん、行ってきます」
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