突然やって来た??

14/26
前へ
/199ページ
次へ
福は大急ぎで教室へ向いながら、幸が言ってた事を何度も自分に言い聞かす。 私は、福じゃなくて会田幸、幸は、真面目で遅刻なんてしない。 風のようにいなくなった幸を見て、蓮は、幸に何かが起きていると確信していた。 福は、恐る恐る教室へ入った。 夢にまで見た高校生活。 小さい頃はほとんど学校に行った事がなかった福は、嬉しさと不安で心がはち切れそうだ。 「幸~~、可愛い、コンタクトにしたんだ」 「きゃ~、この髪形もいい感じじゃん」 福は、あっという間にたくさんの友達に囲まれた。 皆が、髪を触ったり腕を組んだり、福のことを抱きしめてくれる友達もいる。 「絶対、こっちの方がいいよ」 そう言いながら近づいてきたのは、眼鏡をかけた真面目そうな男の子だった。 福は、幸にもきっと色々な人間関係があるのだろうと思い、とりあえず笑顔で応対した。 幸の在籍する2年B組は、ホームルームの時間を使って体育祭の話をしている。 9月19日の土曜日に、この学校の体育祭があるらしい。 福は嬉しくて飛び上がりそうだった。 どれだけ憧れていただろう、思い切って走ることを… 「誰か、女子で100m走に出れる人はいませんか?」 女子全員が下を向く中で、福は高々と手を上げた。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加