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「れんれん、もう本当に帰らなくちゃ…
れんれんは明日学校でしょ?」
「お前もだろ?」
蓮は目をぐるっと回し、おどけた顔でそう言った。
「…うん、そうだね。れんれん?」
「どうした?」
「今日の幸を…
9月30日の幸を、絶対忘れないでね」
「何だよ、それ、またおかしなこと言って。
忘れない…
今日の幸も、昨日の幸も、明日の幸も、絶対忘れない」
福は涙を堪えるのに必死だった。
「ありがとう…
福も忘れないから…」
「うん? 福??」
「間違い、幸でした」
蓮は笑いながら、福の頭をなでた。
「もう、家に入らなきゃだろ?」
「うん」
「じゃあな、また、明日」
「うん、また、明日…」
福は、自転車を押して家に入る蓮を見届けた。
さようなら、大好きなれんれん…
福には、また明日はないけれど、でも、言っていい?
さようなら…
また、明日…
さようなら、優しい私のれんれん…
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