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幸は、福が少しずつ離れていくのを感じていた。
幸は福のいる方へずっと手を伸ばしている。
何度も何度も手を伸ばすのに、今までは福の温もりを感じられたのに、今は探しても探しても見つからない。
「福…
もう一回、私と話そうよ…
もう私の前からいなくならないで、お願いだから…」
福にその言葉は聞こえていた。
でも、もう返事はしない、どのみち、私はここから消えてしまうんだもの。
幸、私の分まで生きて…
そして、私の分までれんれんを愛して…
幸の人生の物語に、福の一ページがある事を、福はとても感謝してる。
ずっと二人を見守ってるから、寂しくなんかないんだから…
幸、さようなら。
…愛してる。
福は、消えた。
幸は深い眠りの中で、はっきりとそれを感じた…
ふく、ふく…?
さようなら…
愛してるよ、福…
そして、新しい朝が来た。
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