149人が本棚に入れています
本棚に追加
福は、顔を洗い、身支度を整えた。
今までの幸は、メガネをかけていたらしい。
でも、今日からの幸は、メガネはやめる。
そして、福はコンタクトレンズを探し出し、それをつけた。
あとは、髪形だ。
幸は、確か、長い髪を一つに束ねるだけだった。
福は、長い髪をきれいに梳かしサイドの髪を少し取り分け、後ろでねじって可愛いピンで留めた。
そして、幸の持っている数少ないコスメの中から色付きのリップクリームを見つけ、軽くくちびるになじませた。
そうやって制服に着替え終わった福は、自分の姿を鏡に映して見た。
「幸、可愛くなったじゃん」
福は、本当に嬉しかった。
私も、もし、元気に生まれて元気に育っていれば、こんな幸のような女の子になっていたのかな…
ダメダメ、神様との約束にあるじゃない。
自分の運命を悲観しないこと、何を見ても、何を聞いても、もっと生きたかったって思ってはいけないこと。
福は鏡に映る幸の着ぐるみに入った自分に、笑顔でそう言い聞かせた。
最初のコメントを投稿しよう!