第1章

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晴れ渡った日曜日、文化祭が行われている高校の門を吹奏楽部の演奏会や演劇部の劇、それに展示物や屋台を楽しもうと沢山の人達が潜り抜けて行く。 笑いざわめく人達の耳に、場違いな歌声が聞こえて来た。 見よ東海の空あけて~ 旭日高く輝けば~ 天地の正気溌剌と~ 希望は踊る大八洲 大音響で流されている歌声は、高校の方へ段々近づいて来る。 流される歌声に顔をしかめる人達の目に、迷彩塗装されたワゴン車と、ワゴン車と同じように迷彩塗装され荷台の屋根の上にスピーカーを括り付けたトラックが2台映った。 3台の車両は門の周囲にいる人達を押しのけるようにして、高校の敷地内に入ってから停車。 停車した3台の車両から、迷彩服とヘルメットを着用して警棒を手にした男達が次々と下車する。 男達は車両の前に整列して、彼等に嫌悪の顔を向ける人達を睨みつけた。 その男達に向けて校長と教頭に数人の教師が駆け寄って行く。 駆け寄って来た教師達に向けて、男達の指揮官が声をかける。 「この学校の展示物に、我が国の文化とは違う物が展示されているとの通報があった。 調べさせて貰うぞ」 校長が返事を返す。 「ご苦労様です。 しかし我が校の展示物は全て、文部省の許可を頂いている物だけですが?」 「許可を貰っている物だけであれば我々も直ぐに引き上げる。 だから隠し立てせずに協力をお願いしたい」
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