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『いやぁ…大きいですね…』 ラギが立っているのは、とある施設の門の前。 門は固く閉ざされていて、すぐ隣にはがたいのよい警備の男性が2人。 門を潜ってすぐにその建物がある訳ではなく、門から更に歩いたところにその施設はあった。 『まぁな。ここまでの道は覚えてるか?』 『大丈夫です、ばっちりです!』 そう胸を張るラギだが、一緒にいたレニーは今までの彼の行動を振り返って、とても大丈夫だとは思えなかった…。 そんな2人がいるのは魔法技術開発局前。 今、魔法に関する技術開発の最先端をいく研究所である。 『で、なんでここに来たかって事なんだが。』 『これを届けに、ですよね。』 『そういうこった。』 ラギは鞄に入った包みを確認する。 中身が何なのかラギには分からないが、何か大事なものなのだという。 ディターミナが開発局から依頼を受けて、それで入手したものを届けに来た、というわけだ。 『本来なら依頼を受けた団員が届けにいくはずだったんだが…。 ど~しても外せない用事が入ったとかなんとか言って、な。』 『いったいどんな用事なんでしょうね…。』 『これでしょうもない用事だったら吹っ飛ばす…。』 レニーが苛立つのも無理はない。 本来ならば、今日の彼女は非番だっだのだ。 ヴォルタークから戻ってきてからというもの、色々なところへ呼び出されていたレニー。 久々にゆっくり休めるぞと意気込んでいたところに、その団員はやって来たのだそうだ。 因みにリオノーラは午前中は用事があると出掛けており、それに伴いラギも暇をしていた。 そこを、開発局はディターミナとも関わりの深い機関だからと、レニーが連れ出したのである。 新しい場所に行ける!とはしゃぐラギに、道連れにするレニーは少しばかり罪悪感を感じた。 これからのことを思うと、尚更であった。 『何だか、申し訳なくなってきた…。』 『? 何か仰いました?』 『いや…何でもない。行くぞ。』 『はい!』 警備の人に声を掛け、門を開けてもらう。 ゴゥ…と重い音をたて、扉が開く。 その門をくぐり、レニーとラギは中央の施設へと向かった。 因みに。 一応研究所なので、シルムは部屋でお留守番である。
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