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と、待っていたところにその制服を着た、1人の少女が現れた。
少女といっても、リオノーラと同い年くらいだろうか。
少なくとも、ラギよりは年上のように見える雰囲気の持ち主だ。
これにはレニーも少し驚いた表情だ。
『おはようございます。お待たせして、申し訳ございません…。』
『いえいえ、おはようございます。
…失礼ですが、あなたは…?』
『申し遅れました。私、前任のメラーズに代わりまして、ディターミナの担当をさせていただくことになりました、
ハンナ・シェリーと申します。』
以後、よろしくお願い致します、と礼儀正しく腰を折る彼女に、レニーもこちらこそ、と頭を下げる。
それにつられて、ラギも慌ててペコリと頭を下げた。
『私は王立騎士団ディターミナから来ました。レニー・アーノルドです。こちらこそ、よろしくお願いします。』
『ラギ…ワーナーです。よろしくお願いします。』
慣れない姓を、危うく名乗らないところだったラギ。
ワーナーというのはラギの仮の姓である。
王都で暮らしていくなかで、名乗るときに姓がないのは不便だろうと、リオノーラが考えてくれたのだった。
今後、名乗らなければならなくなった時には、そう名乗るように言われていたのだが。
実際に名乗ってみると、なかなか違和感があるものである。
『ではアーノルド様、ワーナー様。
ラザフォード博士がお待ちです。こちらへどうぞ。』
ハンナに連れられ、長い廊下を進む。
その廊下は何もない、ただ白い壁が続いているだけだった。
天井もさほど高くはなく、決して広いとは言えない廊下だ。
階段を登り、また長い廊下を歩いた先の白いドアの前で、彼女は立ち止まった。
コンコンコン、とハンナがドアをノックすると、中からは呻き声のような返事が聞こえた。
『シェリーです。ディターミナの方々をお連れしました。』
外から声をかけるも、返ってくるのはやはり呻き声である。
しかしハンナにはそれで十分なのか、扉を開けてレニーとラギを中へ誘った。
『どうぞ。』
そうして誘われた通り、2人が部屋にはいると。
そこには信じられないような光景が広がっていた。
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