お使い

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『私達のしている研究というのは、モンスター達のもつ不思議な力や、その生態を調べ、そちらの面から狂暴化のメカニズムを解析する。そういったものです。 もちろん、それはあの研究室が行っている研究であって、他にも様々な研究室があります。』 『対狂暴化、ですか。』 『ええ、なのでディターミナとは関わりが深いのです。』 『なるほど…。』 『先ほど届けてくださったのはモンスターの体の一部…そういうと響きが悪いですが、ジャングルバイパーの毒です。』 『毒!?』 『ええ。ですので一般の輸送機関に運んでもらうわけにはいかなかったのです。』 とんでもないものを自分達は運んでいたのか…とラギは思った。 レニーもそれをなぜ教えてくれなかったのか、人が悪い。 それともレニーも聞いていなかったのだろうか。 なんにせよ、そんなものを運ばせる団員も人が悪い。 確か、ジャリルという団員だ。 ――ジャリル…聞いたことあるな…。 そういえば、ヌールの姓がそんなだったような、とラギは思い出す。 そうであればレニーが吹っ飛ばす、なんて軽口を叩いているのも頷けた。 『そうだったんですか…。』 『はい。モンスターから採取した毒を不可逆的なものではなく、一過性の毒に化合できないかというものです。 ヒトに使うには難しいところがありますが、大型モンスターを後遺症なく麻痺させたりする薬剤の開発。 あるいは、噛まれたときの処置として使える薬剤の開発…などなど、使い道は様々なので。』 『へぇ…凄いですね。』 段々話が難しくなってきて、理解できないところもあったラギ。 ただ分かったのは、凄いことをしているんだなぁ、ということだけだった。 はて、それがどれくらい凄いことなのか…。 それをラギが知るのはいつになるだろう。 もう少し賢くなりたい、とラギは思った。
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