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プロローグから3年後。
深い森の中
彼は獣道という獣道を、ただひたすらに走っていた。
逆にいえば走れるような道はそれしかなく、左右を見渡す限り密集した草木がお生い茂っている。
…まぁ、もっとも今の彼に、周りを見ているような余裕などないだろうが。
『うっ…そだろおおおおお!?』
『きゅっ、きゅ~!』
そう叫びながら、黒髪の少年は駆ける。
頭の上に、耳が長く、背中にみどり色の発達したトゲを生やしたハリネズミを乗せて。
後ろから迫る恐怖から逃げていた。
ーーせっ…かく都市が見えてきてたのに!これじゃあ道がわかんないっつうか迷子!…あれ一緒か
彼を追っているのは、体長1m程の真っ黒なイノシシのようなモンスター。
彼らでいうブラックフッグというモンスターらしいが、それを説明しろと言われても、それはそれなので、このような表現になる。
たいして大きいわけではないが、猛突進してくるのにぶつかろうもんなら、大きさは関係ない。
けして大柄ではない彼なら、容易に踏み潰されてしまうだろう。
ましてや凶暴化しているモンスター、潰されるだけで済めばまだいい方なのだ。
もっとも、彼にとって良くないことに変わりはないけれど。
ーーしつこいな!足場も悪くなってきたし、このままじゃ…
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