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ぐねぐねと曲がっている獣道
おかげで小回りの利く彼は逃げ延びてこれていた訳だが、
同時に体力の消費も激しかった。
頭の上のハリネズミ…草ネズミはご主人が大きく動く度に振り落とされそうになっているが、
必死にしがみついて離さない。
『っ…落ちんなよ、シルム!』
『きゅきゅぅぅぅぅ!』
『よし…っどアッ!?』
ペットに気を配ったその一瞬だった。
足元への注意を怠った彼は伸びていた大樹の根に足を囚われ、その場に勢いよく叩きつけられた。
これには草ネズミも耐えられず、
ぽーんと前方に、遠く吹っ飛んだ。
『きゅっ!?』
『かっは…シル、ム』
『ガルルルルゥッ!』
胸を強く打ち付け身動きすらとれない彼をブラックフッグは障害物とみなしたのか、
ダンッ、と強く地面を蹴って飛び越え、
ぽふぽふと地面を転がる無防備な草ネズミに向かって突進していった。
『シルム…ッ』
ーー俺は…自分のペットすら守れないのか?
『逃げろおおお!』
彼の叫び声に草ネズミは反応し体制を取り直す。
しかしあまりの体格差にひるみ、身動きが取れなくなってしまっていた。
そこに、ブラックフッグは遠慮なく突っ込んだ。
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