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突然視界に飛び込んできたその人は、その人の体程の大きさのある鎌を振るい、ブラックフッグの首元をザックリと斬ったのだ。
その時の血が噴き出し、横たえたブラックフッグの周りは紅でびっしょりである。
『はぁ…またか…』
その人はくるっと鎌を回すと、鎌はドロッと溶けるように形状を崩し、手のひらに収まるコンパクトのようになった。
それを仕舞うと今度は少年の方に歩いて来て、すっと手を差し伸べる。
『襲われるなんて運がわるかったな。大丈夫か、怪我はないか?』
『え、あ…はい…ありがとうございます…、』
連続的に初めての光景を目の当たりにした少年は呆気にとられていたが、ここでハッと我に帰った。
差し伸べられた手を取り、グッと持あげられながら立ち上がる。
そこへ危険から逃れられた草ネズミが駆け寄り、少年に飛びついた。
『シルム!お前も無事でよかった…』
『きゅっきゅ~!』
『へぇーその草ネズミ、お前のだったのか』
『はい!助けていただき、本当にありがとうございます!』
少年は自分とペットの無事で心の底から安堵し、相手に礼を述べる。
そこにザッザッと草木を踏み分け近づいてくる足音が聞こえ、1人の少女が表れた。
『ようリオ!遅かったな』
『レニーが速すぎるのよ…救出には間に合ったようで良かったけれど』
リオと呼ばれた少女は走って乱れた長い黒髪を払ってから、少年に声を掛ける。
『うん。とりあえず怪我はないみたいね、よかった』
『はい!ありがとうございました!』
『気にすんな、これが俺たちの仕事なんだから』
『…仕事?』
その言葉に少年は表情を曇らせる。
草ネズミもきゅ~?と目を丸くした。
けれど次の瞬間、少年は彼等の胸元についているバッチに気付き
ハッと目を見開いて言った。
『も、もしかしてお2人はーー!!』
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