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『お騒がせして本当に申し訳ありません。ぼくはただユアさんの人柄に惹かれただけですが、思慮が足りなかったと反省しています』
すぐにドッペルSNSが謝罪の発信をしたのは、世間からも高評価でオレも一安心する。
だが続く発信が問題だった。
『ただオレはもう恋愛ができないんです…』
なんだ!? なんだ!?
オレは慌てた。それ以上に世間が混乱した。
この意味深なドッペルSNSの発言に、世間が固唾をのんで注目する。
『実はオレ、医者から余命1ヶ月だと宣告されたんだ』
「そ、そんな馬鹿なッ!?」
オレはショックに打ちひしがれて、病院に行って検査をしてもらった。
「手の施しようがない末期ガンです。私もSNSを拝見していましたが再検査を受けるなんて、自分でも受け入れられないのでしょうね。心中お察しします」
医者の慰みの言葉も耳に入らない。
フラフラとした足取りで家に戻ると、濡れゾウキンみたいに座り込んでしまった。
「なんでオレが……なにも悪いことしてないのに」
空っぽの部屋でうな垂れていると、ふいに男が扉から入ってきた。
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