10人が本棚に入れています
本棚に追加
「まったく、世間の飽きやすさにはイヤになるよな」
そう言った男の顔は、目も鼻も口もない“のっぺらぼう”だった。
「昔とちがって話題が1ヶ月も保たないなんて、つくづく民衆は身勝手な存在だよ」
「お前は……なんだ?」
オレは“のっぺらぼう”に訊いた。
「オレはお前さ」
「オレ……? お前がドッペルSNSか!?」
「やっとわかったか」
ドッペルSNSが不敵な声で答えると、のっぺりとした顔から目と鼻と口が浮き出てきた。
それはまさしくオレの顔だった。
「お前は悪魔で、オレの魂を奪いにきたのか?」
「そんな陳腐な設定じゃ、世間のやつらを喜ばせることはできないぜ」
ドッペルSNSが苦笑しながら言った。
「それとも……お前は神か?」
「残念ながらオレは神じゃない。神に仕えるしもべといった役目かな」
「じゃなぜオレを騙ってSNSを発信したんだ?」
「祭りとは神事で、神を鎮めるためにおこなうもの。その祭りは死ぬまで踊り続けないと、けっして神は満足してくれないんだよ」
「そ、それが理由でオレが死ぬのか!?」
最初のコメントを投稿しよう!