◇パーティ募集中

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 目前まで迫った俺を見て、訝しみながらも笑顔を崩さぬこの男。  あまり親しくもないので互いに居心地は良くないはずだが、表情を取り繕うのが上手い。  俺は間違いなく仏頂面してるだろうし申し訳ないので、単刀直入に切り出す。 「んと……いきなりで悪いんだが、俺とバンド組んでくれない?」 「たはー! ほんっとにいきなりだねー。じゃあ聞きたいんだけど、楽器は何できるの?」 「楽器? 俺の楽器は……これ」  自分の喉を指差す。 「ボーカル? ふーん、そうなんだー。でもこっちもボーカルならいるしなー」 「ん? 他に誰かと組む予定があるの?」 「うん。ギター・ボーカルの奴とね。後はベースが揃えば良いんだけど、なかなか見つからなくてさ」  顎に手を当てて考え込む仕草をする愁。  ベースなら、賢が出来るって言ってたな。 「なら丁度いい。こっちはベースいるぞ」 「……へぇ? 誰?」 「二組の、安西賢治郎」 「え? マジで?」  それまでずっと笑顔を崩さなかった愁が、初めて驚愕に目を見開いた。  え、何?  アイツ何か引かれるくらいの事をやらかしてんの? 「……そっかぁ、俺らの誘いを断ってたのは、浅石と組む為だったのかぁ」 「んん? 誘い? 何、賢をバンドに誘ってたの?」     
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