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「もちろん。初回でこんだけできりゃ上出来さ。俺に関しても気づいた事あったら言ってくれよ? 自分じゃわからない事って多いからさ!」
その言葉で、場の雰囲気が和んだ。
が、そこからギターとベースの反撃が始まる。
……で、一通りやりあった後、本番についてミーティング。
本番の持ち時間は出演バンド数の関係で、一組十五分。
出入りの時間も考慮すると三曲くらいしかできない。
ので、俺は選曲権を放棄し、楽器を演奏してくれる三人に一曲ずつ選んでもらう事に。
それぞれ明日までに選ぶ事で合意し、解散。
愁の家からの帰り道。
夕焼けが空と街を朱に染める中、野郎三人で自転車を押し、並んで歩く。
「はぁぁぁぁ……ったく、ボロクソ言ってくれやがったなあの野郎」
「いつもあんな感じなの?」
鷹也の愚痴を、賢が拾った。
「おう。とんだ完璧主義者よ。昔っから変わらねぇぜ」
「へぇ。まぁ、言われて腹は立ったが、事実だし為にもなったな」
「そうなんだよな。言ってる事は大体正しいんだよ。ただあの言い方がなぁ」
その俺の言葉に、鷹也も賢も同意し、ひとしきり笑う。
「なんにせよ、やると決まったんだから頑張るしかねぇわな!」
「ああ、宜しく頼む」
「だな! よし、帰ったら早速練習しよ」
帰宅後、俺はその言葉通り、指摘された事の修正に努めた。
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