■お使いクエスト受注

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 厄介ごとから逃げるなら、やっぱいつものカラオケか。  歌って発散すれば、大抵の嫌な事は忘れられる性分だ。  我ながら単純で有難い。  なんて現実逃避の算段をつけていると、見上げていた先の窓が開き―― 「あれ、浅石くん?」 ――そこから顔を出した黒髪美人なクラスメイトに見つかって。 「よ、よう愛徳(なるえ)」  こうして俺は逃亡を断念し、しぶしぶ教室へと向かったのだった。 ……教室に辿り着くと、まずは担任の有難い説教から。 「で? 今日はなんで遅刻したんだ?」  半袖ワイシャツと灰色のスラックスに身を包み、睨みつけてくる壮年の担任。  相当ご立腹らしい。  リズミカルに自身の肩へと凶器を叩きつけている。 「え、えーと、ですね」 「ハッキリせんか」  うーむ、ここは正直に言うべきか、誤魔化すべきか。  と考えてみたが、誤魔化そうにも大して妙案はなかったので、そのまま言う事に。 「新作のゲームで夜更かしを」 「たわけっ!」  クラス中の爆笑と、担任の肩を叩いていた凶器――巨大ハリセンが俺の脳天を唐竹割りする音が同時に響く。  そして俺の脳内では脳震盪の余波が響いている。 「いってぇ……なんだそれ、鉄でも入ってんの?」 「気のせいだ」  気のせい?  何誤魔化そうとしてんだこの大人は?     
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